創造理工リテラシー 学部長賞受賞作品
AIを使用した人手不足対策~運送業界のドローン~
7班
- 田村 翔太郎
AIは,膨大な量のデータを分析して人間にはできない予測を行ったり,AIを搭載した機械に単純な作業を任せて人間の負担を軽減させたりできる技術です.このAIは,人手不足の解消に役立つと考えられています.そこで,私はAIを用いた運送業界での人手不足対策について説明します。
現在,少子高齢化による労働人口の減少によって,様々な業界で人手不足が問題となっています.その中でも,運送業界での人手不足は深刻です.インターネット通販の普及によって宅配の取扱量が増えているにもかかわらず,トラックドライバーの有効求人倍率は上昇しています.これより,運送業界での人手不足は明らかです.この人手不足を解消するために,IoTやAIを活用した様々な解決策が考えられています.その解決策の一つとして,AIを搭載したドローンを利用した宅配サービスを紹介します.このサービスでは,AIを搭載したドローンを用いて,自動航行で目的地まで荷物を配送します.このようなサービスは楽天やAmazon,日本郵便などの様々な企業が実用化に向けて取り組んでいます。
Amazonはイギリスなどでドローンを使用した配送の実験を行っていました.そして,2019年6月に,数か月以内にドローンを利用した配送を北米で実用化することを目指すと発表しました.配送用ドローンの配送範囲は15マイル(約24km)で,5ポンド(約2.26kg)までの荷物を30分以内で配達できます.飛行中には空中の障害物を,着陸時には着陸場所付近の地上の障害物をセンサーで検知し,ネットワークから切断されている場合でもAIを使用して,安全を考慮し,必要であれば回避行動をとることができます.Amazonのドローンによる配送は,技術的には実現できる段階に達しています.しかし,現在も実用化されていません.そこには,法整備の問題があります.現在,アメリカでは,ドローンは操縦する人の視界の外を飛行してはならないと連邦航空局が定めています.日本でも同様に,目視範囲外や夜間の飛行が禁止されていたり,ドローンの飛行高度や飛行区域が制限されていたりしています.操縦者の目視範囲外にドローンを飛行させるためには,特別な申請を行い,補助者によって補助をするか,第三者が飛行経路に立ち入らない場所で飛行しなければならないと定められています.このように,技術的には実現可能であっても,法整備が追い付いていないため,ドローンを使った配送は実用化されていません。
これらの事例から,ドローンを使用した宅配サービスの利点と欠点について考えます.最も大きな利点は,配送にかかる人手を減らして効率的に配送することができることです.ほかにも,配送にかかる時間が短くなるので,利用者はより早く荷物を受け取れるようになるという利点もあります.欠点には,墜落の危険性が挙げられます.センサーやAIを用いて安全対策を行ったとしても,事故などでドローンが墜落するおそれがあります.また,法律の整備が進んでいないという課題もあります.現在は,ドローンを使用した配送を実用化するだけではなく,実証実験を行うことも難しい状況です.そのため,AIを搭載した配送用ドローンが社会に受け入れられるためには,早急に法整備を進めて実証実験を行いやすい環境を作ることが大切です.実証実験をたくさん行うことができれば,より早く実用化が可能になるでしょう。
このように,ドローンを使用した配送サービスは,運送業における人手不足問題を解決する有効な手段であり,技術的には間もなく実現できるものです.しかし,実用化に必要な法整備は進んでいません.そのため,このようなAI技術を利用したサービスが社会に受け入れられるためには,法律など整備を進めたり,実証実験を行える場所を作ったりするなど,環境づくりが大切です.将来,ドローンによる配送サービスが普及すれば買い物はより簡単になり,私たちの生活はより便利で豊かなものになるでしょう。
の菅野先生と授賞式で。左側が臼井さん.png)
創造理工学部長(当時)の菅野先生と授賞式で。右側が田村さん
コメント
コメントはありません。