創造理工リテラシー 学部長賞受賞作品

AIの防犯

3班Cグループ

松谷和真
春日大河
菅谷俊介
阿部一真

私たちCグループは、AIを使った防犯対策について話をしたいと思います。

はじめに、皆さんは日本で1年間にどのくらい犯罪が発生していると思いますか?実は、警察庁の統計によるとなんと年間約80万件も発生しているのです。ここ数年は戦後最少の件数を記録し続けているのですが、それでも1日あたりおよそ2000件以上発生している計算になります。この背景として、現代では人と人とのつながりが減少し、人間による犯罪抑制がしにくいことが考えられます。これに対する対策として、AIを使った対策があります。AIを使った防犯システムは、欧米を中心にすでに約30ヵ国で運用されています。例えば、アメリカのロサンゼルス市警察では犯罪予測システムを導入し、その結果強盗事件が33%、暴力事件が21%、空き巣が12%減ったということです。アメリカのその他の警察でもこのような犯罪予測システムが導入されているところがあります。また、日本でも防犯や捜査、警備に人工知能やビッグデータを活用する動きがあります。実際に警察庁では実証実験が始まり、京都府警でもひったくりなどを予測するシステムが導入されているうえ、警視庁や神奈川県警でも導入する動きがあります。このようにAIを使って犯罪が起こりやすそうな場所をピックアップして重点的に警戒するなど犯罪を未然に防ぐ効果が期待されます。

このように犯罪防止に役立つことが期待されるAIですが、問題点も指摘されています。例えば、AIに与えられた情報の偏りがあるいうことや、信頼性に欠ける場合があるということ、プライバシーの侵害になることがあるということ、必ずしも予測が当たらないということなどがあります。情報の偏りについて、AIが予測の基にするデータは犯罪発生そのもののデータではなく、警察が犯罪を覚知した場所のデータです。そのため警察が集中的に監視している地域は犯罪の覚知率が高くなり、発生予測も高くなります。するとより監視が強まり、その地域における犯罪覚知率がさらに高くなるという繰り返しになります。その結果さらなる偏りが生まれます。また、犯罪予防に使われているシステムの中にはアルゴリズムが明らかにされていないものもあり、信頼性を検証できないことがあります。プライバシーについて、犯罪を予防するシステムの中には、個人情報を基にして刑事事件の被告人が将来再び犯罪を起こす可能性があるのかを調べるシステムもあり、監視社会になるという懸念があります。

これらの問題を踏まえたうえで、私たちはAIがビッグデータからどのようにして予測をしているのかを知り、さらにそもそもAIはどのようなデータを基に予測を行っているのかを知ること、そしてそれらによって導き出されたものが公平なものなのかどうかをきちんと理解することが大切だと思います。つまり私たちがAIについてきちんと理解したうえで使うことが重要です。これらを踏まえて私たちは、情報の偏りがなく、監視社会とならないようきちんと情報管理のできるAIがこれからの社会に受け入れられていくAIだと考えます。

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創造理工学部長(当時)の菅野先生と授賞式にて

コメント

松谷和真

「AI」という広いテーマを前に最初は何をどう取り組めばよいか分かりませんでしたが、意見を交換していくと自分たちの中にテーマが形作られ、徐々に何をすれば良いか掴めるようになり、コミュニケーションの中から意見が生まれる面白さを感じることが出来ました。またプレゼンテーションの準備では、テーマに関する情報収集など個人で行う作業は放課後各自で行い、授業中は意見交換といった皆で協力する作業を中心に行うことでメリハリをつけて取り組むことができました。

菅谷俊介

私はこの授業で得たことを今も活かしています。授業やゼミでは自分たちで調べたことや実験、シミュレーションを発表する機会があります。そのような発表ではこの授業で学んだ発表の仕方を活用することが出来ます。こういった発表は個人で行うよりもグループで協力して行うことが多く、計画を立て共有することが大切になりますがこうしたこともこの授業から得ることが出来ます。あと月曜1限から寝過ごさない力もつけることが出来ます。

【参考文献】

AIが犯罪を予測、是か非か 揺れるアメリカ社会 朝日新聞 2019.5.4

犯罪予測システム 株式会社キビテク 2016.2.12

AIを活用した「犯罪予測・治安対策」最前線 AI Lab ai inside株式会社2018.3.1

犯罪予測AIの衝撃 柏村祐 第一生命研究所

知ったかぶり解消!AI(人工知能)のリスクが叫ばれる理由2018.12.12

SECURITY SHOW 日経メッセ 2019.3.5

都道府県別刑法犯の認知件数、検挙件数、検挙人数(平成30年度)

閲覧日6月10日