研究の面白さ、醍醐味を存分に味わって欲しいという思いから、研究テーマはそれぞれの学生の興味に沿って決定することにしています。また、研究活動から得られた経験を、自分を支える大きな自信として欲しいというのが私の願いです。
卒業後、学生が困難な状況に陥ったとしても、「自分なら大丈夫」と思えるような「よりどころ」があれば、社会の荒波の中でも生きていくことができるでしょう。
環境資源工学科では研究が始まるのは大学4年からですが、多くの学生が修士課程に進学するため、研究期間は3年になります。これだけ長い期間1つのテーマについて研究することは多くの学生にとって初めて、もしかすると人生で唯一の経験となるかもしれません。
研究で扱うテーマはどれも難しい問題ばかりです。まだ世界中の誰も答えが分からないような問いに対し、仮説をたて、実験やシミュレーションを繰り返し、試行錯誤しながら答えを導き出し、最後にひとつの論文にまとめあげるという経験、これが大きな自信になると考えています。
私は主体的に研究に取り組む学生の伴走者として、学生が研究に行き詰った時には、助言を与えたり、難しい問題については学生と一緒に考えたりするなどのサポートをするようにしています。
大学院生には、海外の企業や研究機関との共同研究やワークショップに参加したり、国際学会で英語で研究発表を行う機会をできるだけ与えるようにしています。
私自身、本学科在学中に、当時の指導教官からアメリカの大学で研究を続けることを進められ、テキサス大学オースティン校大学院へ留学し、修士と博士の学位を取得しました。様々な国や地域の学生が集まる多様な環境で勉強、研究した経験は私の人生の大きな財産となっています。英語は大の苦手でしたが、授業も研究も当然全て英語。最初はとても苦労しました。しかし、英語力のハンデはあっても早稲田大学で学んだ知識があれば、どの授業にも対応できることに気が付きました。環境資源工学科のカリキュラムの素晴らしさを実感し、自信を持ってアメリカでの研究生活を送ることできました。
卒業後もアメリカに残り、石油サービス会社を経て石油メジャーに就職しました。米国系企業は成果主義的な部分もあり、働く環境としては厳しい面もありましたが、出会った上司は素晴らしい人ばかりでした。様々なことに挑戦することを後押ししてもらい、明確な目標を立てて仕事に取組み、定期的に達成を評価してもらうことで、自信をつけることができました。この海外企業での勤務経験が、いま学生への指導に生きています。
広い視野を持ち、様々な問題に挑戦する姿勢を環境資源工学科で学んでほしいと願っています。